生命保険に入れないのはなぜ?3つの審査基準と落ちた時の対処法

生命保険に加入する際には、保険会社による審査を受ける必要があります。どんな人でも、この審査に通らないと保険に加入できません

しかし、審査基準は保険会社により異なり、またその内容は明確に公表されてはいません

そのため、

  • 保険に加入したいと考えているけど、審査に通るかどうか不安を感じている…
  • どうしても審査に通らなくて困っている…

という人もいらっしゃるかと思います。

そこで本記事では、金融機関で約10年間保険の窓口販売を行なってきた筆者が、保険会社の審査について解説します。

この記事を読めば、

  • 生命保険会社で審査が必要な理由
  • 審査基準
  • 告知書でウソをついたらどうなってしまうのか
  • 審査に通らない場合にはどうすれば良いか

などがわかります。

菊地 学

これから保険の加入を検討している人、保険会社の審査に通らなくてどうすれば良いのか困っている人はぜひご覧ください。

この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
菊地 学(きくち まなぶ)

宮城県出身。慶應義塾大学商学部卒。ファイナンシャル・プランニング技能士1級。

新卒で大和証券へ入社後、みずほ銀行など5社へ転職し、FPコンサルティング部部長や社長室室長などを経て独立。

金融機関の執筆記事の監修や、不動産会社でのセミナー講師、金融機関向けの動画制作など実績多数。金融初心者からは「難しいテーマでもわかりやすく理解できる」と好評。

目次

生命保険にはなぜ審査が必要なのか?

生命保険に加入する際には、申込書と告知書を保険会社に提出して、審査を受ける必要があります。中には告知書が不要な商品もありますが、基本的には審査に通らないと保険には入れません。

菊地 学

ではなぜ審査が必要なのでしょうか?

これは、保険の契約者間で、保険料負担を公平にするためです。

生命保険は、多くの人々が危険度に応じた保険料を出し合って、公平に保障し合う制度ですので、全ての人が同じ条件で契約できるわけではありません。

例えば、すでにがんに罹患してしまった人がいたとします。

もし審査がなく誰でも保険に入れるとしたら、申し込み時点ではがんに罹患していないことにして、保険加入後にがんに罹患したことにしてしまえば、加入後にいきなり保険金がもらえることになってしまいます。

そういう人が増えると、真面目に毎月保険料を支払っている人との公平性は失われてしまい、保険会社は保険金を想定以上に支払う必要が出てきます。

同様に健康状態の悪い人や、危険度の高い職業の人などについても、一般の人より抱えているリスクが大きいために保険金の支払いが予定より多くなる傾向にあり、結果として保険制度の健全な運営ができなくなります

菊地 学

このようなことを防ぐために、生命保険には審査が必要なのです。

では、審査の必要性がわかったところで、続いて生命保険の審査基準について、具体的に解説していきます。

生命保険の3つの審査基準

生命保険の審査は、以下の3つのリスクについて問題ないか、という観点から行われます。

  1. 現在の健康状態や過去の傷病歴によるリスク
  2. 職業のリスク
  3. モラルリスク

現在の健康状態や過去の傷病歴によるリスク

健康状態や傷病歴のリスクについては、保険会社によって基準が少し異なりますが、おおむね以下の内容が告知書で質問されます。

  • 過去の傷病歴
  • 最近、病院で検査・治療を受けたか
  • 人間ドックで結果が悪く、再検査などを行った経験があるか
  • 喫煙歴はあるか
  • 現在妊娠しているか

基本的には、契約者の過去の病気に関することを軸とした質問となっています。

質問の中には、該当した場合にさらに詳細に回答する必要がある項目があります。その場合、

病気やけがの名前、治療期間、医療機関や投薬を行なっているかどうか、などの質問が続くことが多いです。

記載しなくてはいけない過去の病気の経験や治療期間は、保険会社により異なりますが、直近3ヶ月や2年以内が一般的です。ただし過去5年など、長い期間を設けている場合もあります。

菊地 学

普段から、病気になった時の診断書や領収書などを保管しておくと、保険の告知書を記入する際には便利です。またお薬手帳は投薬があったかどうかがわかるので、こちらもあると便利です。

なお、告知書の内容で不十分と判断された場合には、健康診断書の提出や保険会社指定医師による健診が必要な場合もあります。

職業のリスク

職業によっても、契約できない場合保険金額が制限されてしまう場合も。

毎日、危険を伴う仕事を行う「危険職種」の人は、デスクワークなどの安全な職業に比べて、リスクが高くなってしまうことが理由です。

保険会社によって基準は異なりますが、危険職種の一例としては以下の職業があります。

  • 採石夫・石切夫・採鉱員(坑内作業者)
  • 炭鉱夫(採石・採鉱関係)
  • 自動車レーサー・オートバイレーサー・格闘家(*)
  • スタントマン・登山家
  • テストパイロット  など

(*)「格闘家」とは、空手・柔道・ボクシング・レスリング・相撲・K1などを職業とする場合

ご自身の職業が該当するのか、制限などについては検討している保険会社で確認してください。

モラルリスク

冒頭に述べたように、モラルリスクとは保険金、給付金の不正取得を目的とする道徳的危険を意味します。保険会社はそのリスクを回避するために、そういった不正を働く恐れがある人を審査で落としています。

例えば以下のような人です。

  • 暴力団などの反社会的勢力に携わる人
  • 生活保護受給者

契約後に反社会的勢力であることが明らかになった場合には、契約を解除される場合もあります。

また、生活保護受給者は、国のお金で生活しているという理由から生命保険に加入できない場合や、契約中の生命保険がある場合には解約する場合もあります。

告知書で嘘をつくとどうなるの?

告知書に嘘の回答をすると「告知義務違反」となり、保険に加入できたとしても保険の契約が一切無効になる可能性があります。

菊地 学

当然、それまでに支払った保険料も返還されませんのでメリットは全くありません。

過去の病気についても、正しく保険会社に回答することが大切です。もし告知書を記入していて判断に迷うことがありましたら、担当者やコールセンターに必ず確認して正確に記入しましょう。

審査に落ちた場合の対処法3選

では審査に落ちてしまった場合にはどうすれば良いでしょうか?

審査に落ちた場合の対処法は3点考えられます。

  1. 他の保険会社の保険を検討する
  2. 質問が少ない「限定告知型保険」を検討する
  3. 期間を空けて再度申し込む

1つずつみていきましょう!

1. 他の保険会社の保険を検討する

先述の通り、審査基準は保険会社によって異なります。

そのため、A社の保険には加入できなくても、商品性が似ているB社の保険には加入できるという場合もあります。

またB社では「特定疾病・特定部位不担保」という条件付きで加入できる場合もあります。

これは特定の疾病または特定の部位を一定期間保障の対象から外すという条件です。

この条件を付加して契約した場合、保険会社が指定した特定疾病または特定部位については保障されません。過去に特定の疾病を患った人や、特定部位のケガをした人向けの契約形態です。

2. 質問が少ない「限定告知型保険」を検討する

限定告知型保険は、告知書の質問が3〜5問位に絞られていて、すべて「いいえ」と答えられれば申込みができる保険です。質問が少ない分、加入できる可能性が高まります。

例えば、告知事項が3つのケースを見てみましょう。

  1. 今後3ヶ月以内に、入院または手術の予定がある。
  2. 過去5年以内に、以下の病気で医師の診察・検査・治療・投薬(薬の処方を含む)または入院・手術を受けたことがある。
    1. がん(悪性新生物・悪性腫瘍)
    2. 上皮内がん
    3. 肝硬変
      *いずれかの疑いがあると医師に指摘されている場合を含む。
  3. 過去2年以内に、病気やケガで、入院したことまたは手術を受けたことがある。

これらの質問に対して、すべて「いいえ」と答えられたら、この保険には基本的に加入できます。逆に1つでも「はい」がある場合には加入は難しくなります。

3. 期間を空けて再度申し込む

生命保険は基本的に「過去5年以内の病気」を告知対象としています。

そのため告知事項に該当するような病歴がある場合には、期間を空けて再度申し込むことで、告知事項に該当しなくなり、生命保険に加入できる場合があります。

ただし、期間を空けて申し込みを待っている期間は、生命保険に加入していないため、万一のことがあった場合には何も保障されません。また別の病気にかかってしまい、さらに必要な期間が長くなる場合もあります。

期間を空けて再度申し込む場合には、上記のリスクを十分に理解した上で行なってください。

まとめ:審査基準を理解すると保険に入れない理由が分かる

今回は、生命保険会社で審査が必要な理由、審査基準、審査に通らない場合の対処法などについて解説してきました。

審査基準が分かることで、保険に入れない理由が分かった方もいたのではないかと思います。

保険選びの際には、商品性も大切ですが、そもそも自分が加入できるのかどうかという点は非常に大切です。

今回の記事が、保険加入の予備知識につながると幸いです。

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この記事を書いた人

菊地 学(きくち まなぶ)のアバター 菊地 学(きくち まなぶ) ファイナンシャル・プランナー、マネーエスコート代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

宮城県出身。慶應義塾大学商学部卒。ファイナンシャル・プランニング技能士1級。

新卒で大和証券へ入社後、みずほ銀行など5社へ転職し、FPコンサルティング部部長や社長室室長などを経て独立。マネーエスコート代表。

金融機関の執筆記事の監修や、不動産会社でのセミナー講師、金融機関向けの動画制作など実績多数。
20代〜40代の方向けに、情報サイト「マナブロ」も運営中。家計、生活、家電、アプリなど6ジャンルを掲載。金融初心者からは「難しいテーマでもわかりやすく理解できる」と好評。

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